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帝京大学医学部附属病院
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主な治療対象疾患|前立腺肥大症

前立腺肥大症とは

前立腺肥大とは、加齢に伴い前立腺を通る尿道の周囲に結節(しこり)が生じ、さらに前立腺の体積が大きくなること(腫大)をいいます。しかし、前立腺の体積が同年齢の平均よりも大きいことに病的な意義がありません。しかし、腫大した前立腺が通常は尿が出るときに、拡がるはずの尿道がよく拡がらなくなり、尿の出が悪かったり、尿を出し切れない感覚(残尿感)などを感じる状態(排尿困難)があってはじめて前立腺肥大症と呼びます。また前立腺の体積の腫大がなくても、排尿が困難な場合に、前立腺肥大症に含めることがあります。従って男性では、脳神経系の異常による排尿障害が除いた排尿障害を前立腺肥大症と総称することが多いですが、排尿症状は前立腺の大きさとは必ずしも関係がないために、むしろ下部尿路症候群などと呼ぶ動きもあります。前立腺が大きいと触診で診断されただけで症状が伴わなければ、前立腺肥大症とはされません。

正常な前立腺と肥大した前立腺

前立腺肥大症の患者数推移

症状

排尿に関する症状は、排尿に閉塞感がある症状(閉塞症状)と尿を溜めることが難しい症状(蓄尿症状)の2つにまとめられます。閉塞症状は、前立腺腺腫による尿道の閉塞に起因します。蓄尿症状は膀胱刺激症状と呼ばれ、持続する尿道閉塞から二次的に発生することが多いですが、前立腺の大きさが正常で閉塞症状がない場合もあります。

閉塞症状

尿の勢いが弱い、排尿の開始に手間取る、排尿の開始時におなかに力を入れる必要がある、排尿時に痛みがある、排尿が途中で中断する、排尿がスッキリ終わらずにキレが悪く、尿がぽたぽたたれる、排尿後にも、まだ尿が残っているようでスッキリしない、などの症状がある。

蓄尿症状

排尿の回数が多くなった、睡眠中に尿意で目が覚めることがしばしばある、尿意が起こると我慢するのがつらく、漏れそうになる。

尿閉

尿意があっても全く排尿できないことを尿閉といい、前立腺肥大症が背景にあり、飲酒や抗コリン剤などを含む総合感冒薬などを服用して起こることが多い。

これらの症状を定量的に評価するために国際前立腺症状スコア(問診票)が使用されています。国際前立腺症状スコアは残尿感、排尿間隔、尿線の中断、排尿の我慢、腹圧排尿、夜間排尿回数、の7項目からなります。スコアの合計点から症状の程度を 0~7 点を軽度、 8~19 点を中等度、 20~35 点を重度に区分できます。また排尿に関する不満度を QOL スコアで評価します。このスコアは治療効果の判定にも有効ですが、前立腺肥大症に特異的な診断法ではなく、前立腺炎などの尿路感染症、膀胱癌、脳梗塞などの神経疾患による膀胱機能の低下によってもスコアの合計は高くなります。

診断

前立腺肥大症の診断には国際前立腺症状スコアと尿流測定が重要です。尿流測定は実際に排尿をしながら単位時間当たりの尿量をコンピューターで計算し排尿の効率を算出、グラフ化する体に負担をかけない検査です。 この検査により、最大尿流率と平均尿流率、排尿時間を測定し、排尿状態を評価できます。さらに排尿終了後に膀胱内に残っている尿量を超音波検査で評価することで膀胱の排出能力を診断します。国際前立腺症状スコアが中等度以上のスコアで、排尿に不満がある場合は薬物療法、手術療法を行います。前立腺の触診は、排尿状態の把握とは直接関係はありませんが炎症の有無の判断や前立腺癌の鑑別に必要です。

膀胱内圧検査:(尿力学動態検査)圧センサーのついた細い管を尿道から膀胱に挿入し、膀胱を水や炭酸ガスで膨らませながら膀胱の体積と内圧を測定し、排尿筋の収縮障害を診断する方法です。排尿収縮障害があると、手術療法の治療効果は小さくなります。

治療

軽症の場合は排尿を含めた日常生活指導で排尿状態が改善することがあります。

1.薬物療法

1.α遮断薬

α交感神経遮断薬は膀胱頚部および前立腺平滑筋を弛緩させ、尿道抵抗を低下させることにより排尿障害を改善させます。副作用として、起立性低血圧、めまいなどがありますが、膀胱、前立腺、尿道などある部位にだけ作用する薬剤は副作用の頻度が低いため、よく診断して、部位を特定することに勤めます。

2.抗男性ホルモン剤

男性ホルモンであるテストステロンの作用を遮断すると前立腺は萎縮し、体積は減少します。その結果閉塞症状が改善し、尿閉を予防します。副作用として性欲減退や勃起障害があります。

2.手術治療 低侵襲(体への負担の少ない)治療をめざして

尿閉や出せない尿が腎臓にたまって起こる2次的な腎機能の低下、重症度分類で中等症から重症の患者が手術治療の対象となります。手術により腺腫を切り取るため、高い治療効果が得られます。内視鏡を用いて腺腫を切除する経尿道的前立腺切除術 (TURP) が標準的な手術方法ですが、腺腫が巨大である場合は、開放手術(開放性前立腺被膜下摘除術)が行われます。開放手術には副作用として射精障害があります。また当科では、レーザーを用いた先進的な内視鏡前立腺摘除術(HOLEP, HOLAP)を行っています。TURPでは従来手術後に尿道カテーテルの留置が約1週間必要でしたが、この手術法では1-2日と入院期間を短縮することができ、また治療効果も高く、米国でも主流の手術となっております。国内では導入施設はまだ少ないですが、当科では手術後の尿漏れがまったくない手術を行っております。全身状態が良好でないかたには形状記憶合金ステントを尿道に留置し尿道内腔を拡張する治療も行っております。

3.尿道留置カテーテル

急性尿閉に対しては、膀胱尿道にカテーテルを緊急処置として留置し、尿を体外に誘導する必要があります。しかし尿道留置カテーテルは患者の QOL を著しく損ない、また尿路感染を生じるために、あくまで応急処置の治療法といえます。

前立腺外来

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