膀胱癌とは
膀胱癌は、膀胱粘膜上皮より発生する癌で、組織学的には主に移行上皮癌が多くあります。腎盂癌、尿管癌も移行上皮癌が多く、癌として似た性格をもっています。女性より男性に発生する場合が多く、喫煙が大きな発症要因です。また印刷業や美容師、化学工場で有機溶媒の使用などに従事していた方に発癌の頻度が高く職業癌としても位置づけられています。癌でよく言われる家族性(遺伝性)のものは少ないです。
症状と徴候
痛みのない血尿(多くは肉眼的:尿の色でわかるもの)での受診でわかることが多い。また尿が近くなる(頻尿)や排尿後の不快感、尿の我慢がきかない、といった膀胱炎を思わせる症状を訴えることもあります。このため、抗生物質の投与を受けても症状が軽快しない場合は膀胱癌の可能性があります。進行した膀胱癌では癌が膀胱の筋肉の層まで広がり、尿管を圧迫するため、尿路が塞がれ腎盂尿管が拡張する水腎症となり腎機能が低下します。
診断
1.膀胱鏡〔膀胱ファイバースコープ〕の使用
膀胱鏡を使用して膀胱内部を確認することが標準的な検査です。 腫瘍は形態により乳頭状(papillary),結節状(nodular),中間型(papillonodular)に分類され、また茎があるカリフラワーのような形か(有茎性)、あるいは裾の広い形か(広基性)分類します。乳頭状、有茎性腫瘍は表在癌のことが多く、結節状、広基性腫瘍は浸潤癌である可能性が高く注意が必要です。
2.尿細胞診
尿検査で潜血反応陽性,あるいは顕微鏡的血尿(顕微鏡によって血液が含まれていると確認できる尿)、肉眼的血尿があるばあいに、尿細胞診で尿中の腫瘍細胞の有無を診断します。また抗原検出法である尿中NMP22、尿中BTA 検査も尿細胞診をより確実なものにします。
3.画像診断
超音波診断
超音波診断(エコー)は膀胱腫瘍を検出することができ、非侵襲的なスクリーニング目的に優れています。
点滴静注腎盂造影
造影剤を点滴し、腎、尿管、膀胱に充満した尿を撮影することで腫瘍による尿路陰影の欠損像がないか、あるいは尿管の閉塞がないか診断します。
CT,MRI検査
腫瘍の深達度、また転移の有無がわかる。
4.経尿道的膀胱腫瘍切除術
transurethral resection of bladder tumor (TUR-Bt)は、内視鏡を用いて膀胱腫瘍を切除する手術です。後述する表在癌では治療的診断に、浸潤癌では、深達度と癌の悪性度の診断を行います。
表在癌と浸潤癌
膀胱腫瘍の80%は癌が粘膜、および粘膜下層までにしか及んでいない表在癌であり、先に説明したTUR-Btで治療できます。癌が膀胱の筋肉を巻き込み、さらに深く進展している場合は浸潤癌といい、根治的手術として膀胱摘除を必要とすることが多くあります。表在癌は再発する可能性が高いです。これは、遺伝子異常が比較的広い範囲に起こっており、時間をおいて腫瘍が発生する、また腫瘍細胞が膀胱内にたまった尿中を浮遊し拡がる、の2つの要因が大きいと思われます。
治療
1.表在性癌の治療法
表在性癌は経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)を行います。2年以内の再発率が50~70%と高率であり、10~15%は浸潤癌に移行するため術後再発予防目的にBCG(Bacille bilie de Calmette-Guerin)、抗癌剤(アドリアマイシン系薬剤など)の膀胱内注入を行います。表在癌が致命的になることはほとんどありません。
2.浸潤癌の治療法
浸潤癌で遠隔転移のみられない場合は、癌の根治を目指し膀胱摘除術を行うことになりますが,手術療法単独では術後に局所再発、遠隔転移する例が多く(筋層浸潤例の50%が遠隔転移を発生する)、5年生存率も60%程度と不良なために、シスプラチンを中心とした化学療法を手術療法と併用することが多くあります。
3.尿路変向
膀胱を摘除した場合に尿を体外に排出する方法を取らねばなりません。この方法を尿路変向といいます。回腸(小腸の一部)を切り取り、尿管から体外までをつなぐ管とする回腸導管が代表的です。尿道に腫瘍の進展がない場合は尿道を温存し、尿管と尿道を切り取った回腸で作成した袋(代用回腸新膀胱)につなぎ合わせる、代用膀胱造設も広く行われています。回腸導管では開口部(ストマ)に集尿する袋をつける必要があります。これに比べ回腸新膀胱はほぼ正常同様の排尿機能を保つことができるのでQOL(生活の質)が高いといえます。
詳しくは回腸新膀胱造設術の紹介をご覧ください。
4.放射線療法
高齢者や基礎疾患があり手術が困難な場合、浸潤癌でも膀胱を摘除することなく放射線療法を行うこともあります。効果を高めるために化学療法を併用することもあります。
映像資料
帝京大学が提供する疾患・治療情報を紹介するTV番組「帝京大学健康ステーション外へのリンク」(CS日本141ch・G+にて放送)で放送した「タイトル:前立腺がん」をネット上でご覧いただけます。
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