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帝京大学医学部附属病院
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主な治療対象疾患|多発性嚢胞腎(ADPKD・ARPKD)

多発性嚢胞腎とは

多発性嚢胞腎は、両側の腎の皮質、髄質に多数の嚢胞(のうほう:分泌液がたまって袋状になったもの。水泡。)をできてしまい、実質(皮質と髄質)が繊維状に容量を減少させてしまう疾患です。

腎臓に嚢胞ができることに病的な意味はあまりありません。腎臓の嚢胞は尿細管の一部が膨らみ尿の成分に近い体液がたまってしまうことで、10人中3人程度の方に1~2個の腎嚢胞があるとの調査もあり体に害を及ぼすことは多くありません。ただし、大きくなって腹部を圧迫したり、血尿の原因になることもあります。また、まれではありますが腎腫瘍を伴うことがありますので、腎嚢胞があると診断された場合は専門医の診断を受けるべきでしょう。

多発性嚢胞腎は、嚢胞が常染色体優性遺伝をする嚢胞腎、autosomal dominant polycystic kidney disease; ADPKDと、常染色体劣性遺伝をする嚢胞腎、autosomal recessive polycystic kidney disease; ARPKDに分類されます。

常染色体優性遺伝嚢胞腎(Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease:ADPKD)

結石のできる部位としては腎臓、尿管などの上部尿路結石が95%とそのほとんどを占めます。また腎臓で形成される結石とは別に、排尿障害のため膀胱内に残尿がある場合、膀胱内で結石が作られます。

発症の男女比はほぼ5:2で男性に多くみられます。生涯罹患率は男性9.0%、女性3.8%と頻度が高い疾患です。再発率も高く、腎結石での再発率は5年間で45%、10年間で60%とされています。発症する年齢は全年齢ですが、男性では特に20-40代に、女性では閉経後に多くみられます。

結石の成分は、カルシウム(蓚酸Ca、リン酸Ca)が79.4%で最も多く、次いでリン酸マグネシウムアンモニウム7.4%、尿酸5.2%、シスチン1.0%、その他7.0%となっています。内科疾患では海綿腎、原発性副甲状腺機能亢進症や尿細管性アシドーシスに伴ってみられることが多くあります。

閉塞状態が長引くとたまった尿により尿路が広がり水腎症となります。水腎症になると腎機能が低下し、最終的には腎機能が失われますが、疼痛は逆に軽減します。背中や側腹部の激しい痛みが収まったからといって頬って置く結石が、排出されず長期に同じ部位に停滞していると尿管粘膜により被覆され、嵌頓結石(かんとんけっせき)になります。

症状

尿路結石の最も大きな症状は背中や側腹部の疼痛(とうつう:うずき。ズキズキする痛み。)です。この痛みは夜中から明け方に多くみられます。他にも頻尿・残尿感などの膀胱炎のような症状、吐き気や嘔吐などもみられます。背中や側腹部の疼痛は尿路が急に閉じたことによって起こる腎盂内の圧力の高まりや尿管壁の過剰な蠕動運動(せんどううんどう:腸などの器官が内容物を流す動き)により生じます。夜間に多くみられるのは、夜間に尿が濃縮されるために、結石周囲の尿管が濃縮された尿によって腫れ閉塞が起こるからではないかと考えられています。頻尿・残尿感などは結石が膀胱と尿管の変わり目まで移動してくるとあらわれる症状です。また、吐き気、嘔吐などは自律神経を介しての腸管の反射性麻痺によるものです。

血尿も重要な症状ですが、自覚できるほどの血尿(肉眼的血尿)であることはあまりなく、診断時に確認できる顕微鏡的血尿の場合が多くあります。

診断

疫学

ADPKDは、羅患率が約1,000~2000人に1人に発症し、遺伝性腎疾患の中で最も頻度が高いものです。腎嚢胞の多発と、腎実質の萎縮、繊維化により機能ネフロン数が減少し、患者の半数は60歳代までに終末期腎不全となります。病理像としては糸球体の硬化像、尿細管の萎縮、間質の繊維化を認め、また炎症細胞浸潤も認められる。腎臓以外の嚢胞形成としては、肝嚢胞を60~70%に認め、女性、腎機能が低下している患者に多い。膵臓、卵巣、甲状腺に嚢胞を認めることがあります。20%の患者に頭蓋内動脈瘤を認め、また家族に動脈瘤がある場合は可能性が高くなります。脳動脈瘤破裂は、比較的若年者に多くみられますので、スクリーニングが必要です。腎不全の進行する前に、50-75%の患者に高血圧が確認され、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系の活性化による腎血漿流量の低下と、腎血管抵抗が増大することが報告されています。また心臓超音波検査で30%程度の方に心臓弁膜の機能異常が発見されます。心肥大、冠動脈疾患および、嚢胞感染による敗血症も注意を要する合併症です。

患者の約8割は、第16染色体短腕上の遺伝子PKD1の異常により発症します。残りのほとんどは、第4染色体長腕上の遺伝子PKD2の異常を原因としています。他にも少数例ですが、これ以外の遺伝子異常により発症する例もあります。PKD2遺伝子異常家系は、PKD1遺伝子異常家系に比べ、腎不全の進行が遅いlate-onset型であり、予後が比較的良好であるといわれています。遺伝浸透率はほぼ100%と考えられていますが、家族に病歴のない散発例もめずらしくありません。

治療

腎実質が萎縮することによってネフロンが減少し、腎機能が低下します。現在これを止めたり、抑止するために確立された治療法は現在ありません。しかし最近の研究により腎不全と嚢胞が大きくなることを防ぐことが期待される薬剤が見つかりつつあり、当科を含めた専門施設で臨床治験・研究が始まっております。また高血圧、尿路感染は、腎不全の危険性を増すためにも治療が必要です。

日常生活においては、水分を多く取るようにすることが大切です。

帝京大学病院泌尿器科での取り組み

  • 24 時間蓄尿により正確に腎機能を評価します。
  • MRIなどで現在の腎臓の大きさを評価します。
  • 家庭で血圧測定をしていただき、高血圧の評価をします。
  • 動脈硬化の検査を行います。
  • 心臓超音波検査、脳 MRI により、心臓機能に異常がないか、また脳動脈瘤がないか調べます。

以上の結果から、適切な治療を行っていきます。
堀江重郎 月・水 午前
武藤 智  月・金午前

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