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主な治療対象疾患|前立腺がん

前立腺がんとは

前立腺がんは、欧米では男性がん死亡者の約20%を占め、最も罹患(りかん:病気にかかる)率の高いがんです。そのため欧米では重要視されています。日本ではこれまで男性がん死亡者の約4%と比較的頻度の少ないがんと考えられてきましたが、生活習慣の欧米化および高齢化社会に伴いその頻度は急速に増加し、2015年には現在の約2倍に罹患率が増加すると予測されています。

前立腺がんの罹患率は、50歳以後に増加し、70歳代では男性10万人あたり約100人(0.1%)、80歳以上では約300人(0.3%)近くになり、胃がん、肺がんについで高齢者での罹患率が高いがんとなります。前立腺がんになる危険性要因(リスクファクター)としては、脂肪分の多い食事などが挙げられています。

症状

前立腺がんは前立腺の辺縁(外周)部に発生することが多いため、初期のがんでは、特に症状はありません。排尿の異常など他の理由で泌尿器科を受診したり、また健康診断で腫瘍マーカーであるPSAの異常を指摘されることにより発見されることが多くあります。腫瘍が進行すると前立腺肥大症と同じような排尿困難や血尿を起こします。さらにがんが膀胱へと拡がると尿管を圧迫し、水腎症となります。前立腺がんは特に骨に転移しやすく、転移部位に痛みや骨折を起こります。また脊椎骨に転移した場合、転移巣が脊髄を圧迫して麻痺症状が出ることがあります。

診断

1. PSA (前立腺特異抗原)検査

血液中の前立腺特異抗原 (PSA)は、非常に鋭敏に前立腺がんの存在を検出できる血液検査であり、がんの進行とともにPSA値も上昇し病期を予測することが出来きます。また治療効果の判定にも極めて有用です。しかしPSAは前立腺がんを特異的に検出するのではなく、前立腺肥大症や前立腺炎でも高い数値を取ることがしばしばあります。正常値は測定キットにもよりますが、3-4ng/ml以下であり、10ng/ml以上ではがんが検出される可能性が大きいです。またPSAの値を超音波検査で計測した前立腺の体積(ml)で除した、PSA密度が0.1ng/ml2以上であるとき、あるいはPSA値が昨年のデーターより1年に1.0以上上昇している場合もがんがある可能性が高いです。そのため、50歳以上では年1回のPSA測定を行うことが望まれます。

2.直腸指診

肛門から直腸の中に医師が指を入れて、前立腺の状態を触診することにより、前立腺表面の不整の有無、硬さ、周囲との境界、痛みの有無などを診断します。前立腺がんの初期の段階でも、硬結部分を触ってわかることがあります。がんが進行していくと前立腺全体が著しく硬く、表面が不整になり、特徴的な触感になります。

3.前立腺生検

前立腺生検が確定診断に必要になります。超音波により位置を確認しながら異常のある部分の前立腺組織を針によって採取し、異常がありそうな部分にがん細胞があるのか、そして、組織構築と細胞核の異型度を診断します。組織構築の異型度を判定するグリソン (Gleason) スコアが、予後へ因子として重要です。前立腺内および周囲組織へのがんの進展は腹部、骨盤部のCTやMRI検査により診断します。骨への転移を調べるためには骨シンチグラムで骨代謝回転異常を検討します。

治療

前立腺がんの治療法として、外科療法、放射線療法、内分泌療法、化学療法の4種類があります。医師はそこから臨床病期と年齢、がんの悪性度に応じた治療法を提案します。そこから治療を受ける方が選択することが一般的になっています。

1.内分泌療法

前立腺がんは、血液中の男性ホルモン (テストステロン)を減少させると小さくなっていきます。その性質を用いた治療法が内分泌療法です。

テストステロンは精巣で作られるため、精巣を摘除する去勢術や、下垂体に作用してテストステロンを去勢術を施行した時と同じくらいに低下させる薬剤(LH-RHアナログ)の投与が行われ、腫瘍量が少ない場合は長期にわたり有効なことがあります。

テストステロン産生を抑えるエストロゲンや抗男性ホルモン剤も有効です。内分泌療法は主として転移がある前立腺がんや高齢者に用いられる治療ですががんの退縮効果は一時的な場合も多くあります。また男性ホルモンを遮断することで骨粗鬆症や貧血、代謝、精神活動への影響が起こることがあります。

2.手術療法

肛前立腺・精嚢を取り除く手術法「根治的前立腺全摘除術」が転移のないがんに対する標準的な治療法です。前立腺を取り除いた後は膀胱と尿道を吻合(ふんごう)します。また骨盤内のリンパ節も摘出し、転移の有無を調べます。標準的な手術法である理由は治療効果が約80~90%で得られる現在最も確実な治療法でありことと、開放(開腹)手術の場合に保険が適用されるからです。また、従来は腹壁、筋膜を切開する開放手術をしていましたが、現在では内視鏡の一種である腹腔鏡を用いて手術を行う施設が増えています。

がんが前立腺を越えて進展していた場合、あるいは術後に尿道や膀胱に再発した場合は、内分泌療法や放射線療法を追加することがあります。入院期間が、約3~4週間かかり、手術後の合併症として、尿の漏れ(尿失禁)や勃起不全を起こすことがあります。腫瘍が前立腺内に限局したがんでは QOL(生活の質)を維持するために勃起神経温存手術を行うこともあります。

3.放射線療法

体外から前立腺、あるいは骨盤に放射線を照射し、がん細胞にダメージを与える治療法です。内分泌療法を併用すると治療効果が高く、手術療法と遜色ない結果が得られます。心臓や呼吸機能などの持病があり、手術への危険が大きいとき、あるいは手術に気が進まないときに最初の治療として行われます。少量の放射線を患部の様子を見ながら、長期間当てていくので入院期間は約6~8週間と長期にわたります。

また、放射線の影響で周囲の臓器に副作用を生じることがあります。頻尿や下痢、肛門の痛みがあるほか、直腸炎、膀胱炎などの症状が出ることもあります。また骨転移の強い疼痛(とうつう)や骨折の危険が高い部位に対症的に放射線治療を行うことがあります。前立腺内に放射性物質を埋め込み治療する方法も試みられています。

4.化学療法

内分泌治療が有効でない症例や、効果がなくなった時にタキソールなどの抗がん剤を組み合わせる治療を行うことがあります。効果は一時的な場合が多いです。

5.先端治療

体への負担・治療期間の長さなど手術療法や放射線療法などでは患者様への負担が大きくなります。最先端の前立腺がん治療法「HIFU(高密度焦点式超音波治療法)」では初期の前立腺がんに限りますが、負担が従来の方法より格段に軽減します。詳しくはHIFUの紹介。HIFUは注目度の高い治療法ですので、英文による紹介、韓国語による紹介も掲載しています。

治療

帝京大学が提供する疾患・治療情報を紹介するTV番組「帝京大学健康ステーション外へのリンク」(CS日本141ch・G+にて放送)で放送した「タイトル:前立腺がん」をネット上でご覧いただけます。
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