尿路結石症
尿路結石とは
尿路結石は主に腎臓で尿中のカルシウムや尿酸などの無機質の結晶とたんぱく質などの有機物が固まってできます。尿路結石の原因は下記表1に示すような尿流の停滞や代謝異常・使用薬剤による影響などが考えられますが、直接的な原因を言い当てられるような場合は多くありません。結石が腎臓から尿管を移動中に尿路をふさいで尿の流れが止まると、腎臓に尿がたまり背中や側腹部、下腹部に激烈な痛みが起こります。
| 尿流停滞:排尿障害などにより、尿が体内に長期間留まること | |
| 尿路感染 | |
| 長期臥床:姿勢が変わらないので尿流停滞が起こるため | |
| 代謝異常 | 原発性副甲状腺機能亢進症 |
| 高カルシウム尿症 | |
| 高蓚酸尿症 | |
| 低クエン酸尿症 | |
| シスチン尿症 | |
| 遠位尿細管性アシドーシス | |
| クッシング症候群 | |
| 薬剤性 | アセタゾラマイド |
| ステロイド | |
| 活性型ビタミンD | |
| 尿酸排泄促進剤 | |
| プロテアーゼ阻害薬 | |
結石のできる部位としては腎臓、尿管などの上部尿路結石が95%とそのほとんどを占めます。また腎臓で形成される結石とは別に、排尿障害のため膀胱内に残尿がある場合、膀胱内で結石が作られます。
発症の男女比はほぼ5:2で男性に多くみられます。生涯罹患率は男性9.0%、女性3.8%と頻度が高い疾患です。再発率も高く、腎結石での再発率は5年間で45%、10年間で60%とされています。発症する年齢は全年齢ですが、男性では特に20-40代に、女性では閉経後に多くみられます。
結石の成分は、カルシウム(蓚酸Ca、リン酸Ca)が79.4%で最も多く、次いでリン酸マグネシウムアンモニウム7.4%、尿酸5.2%、シスチン1.0%、その他7.0%となっています。
内科疾患では海綿腎、原発性副甲状腺機能亢進症や尿細管性アシドーシスに伴ってみられることが多くあります。
閉塞状態が長引くとたまった尿により尿路が広がり水腎症となります。水腎症になると腎機能が低下し、最終的には腎機能が失われますが、疼痛は逆に軽減します。背中や側腹部の激しい痛みが収まったからといって頬って置く結石が、排出されず長期に同じ部位に停滞していると尿管粘膜により被覆され、嵌頓結石(かんとんけっせき)になります。
症状
尿路結石の最も大きな症状は背中や側腹部の疼痛(とうつう:うずき。ズキズキする痛み。)です。この痛みは夜中から明け方に多くみられます。他にも頻尿・残尿感などの膀胱炎のような症状、吐き気や嘔吐などもみられます。背中や側腹部の疼痛は尿路が急に閉じたことによって起こる腎盂内の圧力の高まりや尿管壁の過剰な蠕動運動(せんどううんどう:腸などの器官が内容物を流す動き)により生じます。夜間に多くみられるのは、夜間に尿が濃縮されるために、結石周囲の尿管が濃縮された尿によって腫れ閉塞が起こるからではないかと考えられています。頻尿・残尿感などは結石が膀胱と尿管の変わり目まで移動してくるとあらわれる症状です。また、吐き気、嘔吐などは自律神経を介しての腸管の反射性麻痺によるものです。
血尿も重要な症状ですが、自覚できるほどの血尿(肉眼的血尿)であることはあまりなく、診断時に確認できる顕微鏡的血尿の場合が多くあります。
診断
背中や側腹部の疼痛が主な症状の方を診た場合、尿路結石以外にも似た症状の疾患があるため以下の検査を行い、疾患の種類を診断します。また同時に、結石の場合には大きさや、結石のある場所、尿路の閉塞状況も診断します。
- 尿検査:色や量などを調べる一般尿検とともに、結晶や血液中の成分が含まれていないかなどを尿を遠心分離して調べる尿沈渣も行います。
- 超音波断層法:上部尿路の閉塞による水腎、水尿管の程度を判断するのに重要な検査。
- KUB(Kidney- ureter-Bladder) :レントゲンで尿路全般が入るように撮影。結石の位置、個数、大きさ、X線透過性などを調べます。
- 排泄性尿路造影:尿路の形の変化やつまり具合などを診断するのに行う検査。造影剤を静脈注射し腎より尿路と通って流れる様子をレントゲン撮影することで調べます。造影剤を使用するので、腎障害、造影剤アレルギーにはのある場合はこの検査を行わない場合があります。
- X線CT:体の断面(輪切り)を画像化して調べる検査です。一般的なレントゲンと異なり、放射線透過性結石や微小な結石の有無を調べられます。また、腎実質の状態も調べられます。
治療
尿路結石と診断される人は背中や側腹部の激しい痛みを訴えて病院を訪れる場合がほとんどです。そのため、痛みを和らげることから治療が始まります。疼痛の対処には下記の方法を行います。
- 非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)坐薬の使用。
喘息、高度腎障害、低血圧の方には原則として使用しません。 - 非麻薬性鎮痛薬(ペンタゾシン等)の筋肉注射・静脈注射
- 鎮痙剤(ブスコパン)の筋肉注射・静脈注射
- 硬膜外麻酔
- 尿管ステント留置
痛みの緩和後は、結石を体外に出すための治療に移ります。治療法は部位・サイズにより異なります。
5mm以下の結石は、飲水、運動などの日常生活指導のみで自然排泄を期待できるため、無治療で経過を診ていきます。この際尿が出やすくする薬剤α1ブロッカーを使用し排石を促すこともあります。ただし繰り返す疼痛や尿路感染の合併、尿が腎にたまって機能低下が懸念される場合は積極的な治療を行います。
結石が5mmより大きい場合には、結石を体外に出すため積極的な治療を行います。結石の部位や大きさをもとに下記にあげる治療方法から選択します。
- 体外衝撃波砕石術(ESWL):衝撃波エネルギーを結石に照射し、結石を破砕する方法。腎・尿管全ての結石に対して有効であり、ほとんどの場合でこの方法がとられつつあります。ただし、20mm以上の結石、嵌頓結石では完全に破砕できない場合が多くあります。
- 経尿道的尿管砕石術(TUL):内視鏡を尿道から逆流するように尿路内に通し、超音波、レーザー等によって砕石、抽石する方法。特に下部の尿管・膀胱・尿道などの尿路結石に効果を発揮します。また、ESWLでは難しい嵌頓結石に対しても有効に治療ができます。
- 経皮的腎砕石術(PNL):ESWLやTULでの治療が難しい腎・尿管にできた珊瑚状結石などの大きな結石に対する治療で用いられる方法。結石のある腎・尿管に近い背中から内視鏡をに挿入し、砕石、抽石を行います。
- 開放手術(腎盂切石術、尿管切石術、腎摘出術等):ESWLや内視鏡を用いた方法で治療できない場合に用いられる方法。
再発予防のための療養指導
尿路結石は再発する頻度が高く、再発を予防するためには療養指導が重要なポイントとなります。
飲水指導:
水分を多くとることで尿量を増やし、結石を形成する成分の凝縮・停滞を防ぎます。食事以外に一日2L以上の水分摂取を目安とします。なお、補給源としては、結石形成の促進物質の尿中への排泄を助長する清涼飲料水、コーヒー、紅茶、アルコールなどの過剰摂取は控えるよう指導します。
食事指導:
バランスのとれた食生活を指導。一定量のカルシウム(600~800mg/日)やクエン酸の適量摂取、及び穀物摂取を奨励する。逆に蓚酸、砂糖、脂肪の過剰摂取を制限し、動物性蛋白質(1.0g/kg/日、動物蛋白比50%)、塩分(10g/日以下)の過剰摂取も制限します。また、食事により吸収した物質を長時間体内の尿中にとどめないために夕食から就寝までの間隔を4時間程度開けることを目標として指導します。
服薬指導:
尿中の成分やphが極端な場合に結石が形成される場合が多いため、薬剤によってそれを制御します。クエン酸製剤は酸性尿の改善を目的とし、アロプリノールは高尿酸血症に伴う高尿酸尿、チオプロニンはシスチン尿症、サイアザイドは高カルシウム尿症に対し用います。マグネシウム製剤は蓚酸カルシウムの発生を予防します。
参考サイトへのリンク
これまで男性に多い病気として認識されてきた尿路結石が女性、それも若い女性に増えてきました。この現状と尿路結石ができるメカニズム、注意すべき点などが紹介されています。




