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前立腺センター

増加する前立腺疾患に向けて最新診断・治療の提供を目指します

 新病院に先駆けて2008 年4 月に前立腺センターを開設いたしました。前立腺の疾患の多くは60 歳以上の高齢
者が罹患する生活習慣病ともいえます。高血圧や狭心症などの循環器疾患、糖尿病などの代謝疾患、脳梗塞やパーキンソン病などの神経疾患、変形性脊椎疾患や脊椎間狭窄症などの整形外科疾患などが、前立腺疾患と併発し、複雑な病態を呈しています。前立腺センターでは、これからさらに増加する前立腺疾患の診断・治療に向けて、各科の垣根を越え、前立腺肥大症、前立腺炎、前立腺癌を集学的に加療することを目標に研究と診療に取り組んでいます。

1. 前立腺肥大症の診断・治療:前立腺レーザー治療外来

これまで前立腺肥大症という疾患は、単純に前立腺部尿道が腫大した腺腫により、圧迫され、機械的な閉塞が起こった結果、排尿障害が生じると考えられてきました。しかし、非常に大きな腺腫でも排尿の保たれている例もありますが、小さな腺腫でもきわめて排尿が困難になるケースもあり、その病態は複雑です。また、前立腺肥大症に合併して、糖尿病や神経疾患に起因する神経因性膀胱や過活動性膀胱などの合併により様々な病態をきたしている場合が多くみられます。したがって、前立腺肥大症の診療には、これらの要因を内科や整形外科と連携し、客観的に評価する診断方法と評価基準を経て治療を行うことが推奨されます。また、当院では術前全例、膀胱尿道内圧測定、pressure flow study を行い、膀胱機能の評価を行っています。治療としては、各患者の症状にあわせて、薬物療法よりは外科的治療法を選択すべき場合もありますが、社会的要因など病態以外の要因も考慮し、患者様と充分相談の上、治療方法を決定します。当院では、患者様のQOLを損ねる安易な尿道カテーテルの留置はさけ、浸襲性や合併症の大きな経尿道的前立腺切除術(TUR-P)に変わり、術中出血もほとんどないホルミニウムレザー核出術(HoLEP)をいち早く取り入れ治療を行っています。今回の前立腺センター設立に伴い、斉藤医師を中心に前立腺レーザー治療外来を開設しました。たくさんの患者様にレーザーを用いた低浸襲性治療の恩恵を預かっていただきたく、手術技術の向上に常に努めています。

2. 前立腺炎の診断・治療

前立腺の慢性炎症性疾患は、原因や病態についていまだ解明されていないことも多く、治療に難渋する例も多くみられます。このような患者様は前立腺センターにて統合的な診断治療を行います。基礎疾患として糖尿病を併発していることも多くみられ、また、慢性前立腺炎はアレルギー、自己免疫疾患や精神的因子の関与も考えられており、病態を把握、治療するために内科との連携が必要になります。

3. 前立腺癌の診断・治療より確かな診断とQOL の高い治療

前立腺癌検診の普及により多くの前立腺癌が早い段階で見つかるようになって来ました。しかし一方でPSA 値が高いのにもかかわらずがんが発見されない、いわゆる「PSA難民」が全国で増えています。この理由としてCT やMRIといった画像診断では前立腺癌の局在がはっきりしないことが挙げられます。

当院では組織内分子イメージングとして放射線科とMRスペクトロスコピーの臨床応用を研究しており、生検よりも癌の検出が高いことを国際学会や日本癌学会、癌治療学会および国際雑誌に発表してきました。現在過去に生検を行い、癌が出なかったかたでPSA 値が高い場合にMR スペクトロスコピーにより生検の適応の判断をしております。また当科で作成したノモグラムにより、単にPSA 値だけではなく、生命の危険のある癌の可能性があるかどうか、生検の適応を考える際に検討しています。

局所前立腺癌の治療は、無治療観察から手術療法放射線療法ホルモン療法高密度焦点超音波療法など多岐に渡ります。また、骨転移を伴うような進行期前立腺癌には、充分なインフォームドコンセントの後に集学的治療を行うことが求められます。LH-RH アゴニスト療法や抗アンドロゲン剤を中心としたホルモン療法のほかに、積極的な化学療法、骨転移部位に対する放射線療法、治験段階の分子標的薬などに関して説明を行い、患者様の意思により治療方法が決定されるようにアドバイスを行っています。当院では前立腺癌に対する治療方法に対して、他院からの紹介や遠方からの来院も多く、昨年4 月より堀江教授を中心としてセカンドオピニオン外来を開設し、的確な治療へのアドバイスを行っています。局所前立腺癌に対する当院の特徴として、HIFU外来を開設しています。また、骨転移をきたした前立腺癌患者様の疼痛治療として、ストロンチウム-89(メタストロン:商品名)を用いた放射線治療を施設基準に適合した新病棟の開院と同時に開始するための準備を行っています。