HIFU:高密度焦点式超音波治療

前立腺がんに対する先端治療
前立腺は排尿の調節や精液の成熟化に働く男性機能に重要な役割を持つ臓器です。前立腺は膀胱の出口、男性の骨盤の奥深い部分に位置し、中心を尿道が貫いています。
この前立腺に発生する前立腺がんは、欧米人の男性に発生するがんではもっとも多いものですが、最近日本人においても急増しています。前立腺にがんが限局している(とどまっている)場合、これまで前立腺を摘出する手術(根治的前立腺全摘術)あるいは前立腺への放射線体外照射療法が行われてきましたが、手術、放射線治療のいずれも患者様に対する侵襲(しんしゅう:体への負担)が大きいことおよび治療による合併症が少なからずあること、さらに長い治療期間を要することなどの問題がありました。より患者様への負担が少なく、より安全にしかも短期間でがんを治療できる治療が望まれていました。
そこで帝京大学医学部附属病院泌尿器科では都内23区内ではじめて高密度焦点式超音波 (high-intensity focused ultrasound: HIFU [通称:ハイフ]) 治療を導入いたしました。
HIFUは、コンピューター制御により前立腺に高密度な超音波を照射し、早期の前立腺がんを治療する最先端治療です。短期間の入院による治療が可能で、当科では2 泊3 日で行っています。他の治療後の局所再発にも対応できる治療法でもあります。われわれも前立腺全摘術後の局所再発症例を2 例経験しています。繰り返し治療可能です。
HIFUの原理
HIFUは超音波を利用し、からだの深部にあるがん病巣を治療する方法です。超音波は医学のさまざまな領域で、これまで主に検査の目的で使用されています。例えば、妊娠中の赤ちゃんの状態を観察するためや、胆石がないか腹部疾患のスクリーニング(ふるい分け)に使用されています。
図1超音波を一点に集めることにより、その焦点にピンポイントに高いエネルギーを集中することができます。このとき超音波の焦点領域は組織の吸収係数に応じて80.0-98.℃に熱変換されます。組織内温度は短時間(一般には1 秒以内)に高温に達しますが、5mm 離れた部位では50℃まで低下します。HIFUはこのような超音波の特徴を利用して、正常な組織を温存して目的のがん病巣を破壊することができる治療法なのです。特徴として一回の照射域が3×3×10mm であることからピンポイント照射を可能とします。前立腺がんはHIFUによる治療効果がもっとも高いと考えられており、難治がんである腎臓がん、膵臓がんへの応用も開発されています。
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