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膀胱がん

メンバー
武藤 智、磯谷 周治

発癌、進展の本質に迫る研究を: 膀胱癌と肥満細胞


図: 肥満細胞の個数

 肥満細胞は骨髄から間質に移動することにより成熟し、さまざまなサイトカインを分泌することにより炎症に関 与することが良く知られています。肥満細胞がサイトカインを放出し血管新生やcollagenase を誘導するという報告や、癌組織への肥満細胞の集積が多い患者の予後が不良であるという報告から肥満細胞は発癌、腫瘍の増殖進展に促進的に働くことが示唆 され、注目を集めています。receptor 型 tyrosine kinase であるc-kit の突然変異によるw/wV マウス (WB B6F1/J-KitW/KitW-v)では肥満細胞が欠損していることが知られています。われわれは以前よりヒトプロト型H-ras ゲノムを導入したtransgenic mouse(rasH2)マウスでは野生型と比べて肥満細胞の数が有意に多く(25.0 ± 7.7 VS 53.5 ± 22.2, P<0.0)、皮膚化学発癌に高感受性であること、このrasH2 マウスにw/wV を導入し肥満細胞を欠損させることにより発癌感受性が低下することを報告してきました。肥満細胞の集積は皮膚だけではなくヒトの様々な臓器の癌において多 数認められることから、膀胱発癌においてもその関与が推測されます。ヒト膀胱癌において、間質の肥満細胞数をtoluidine blue 法にて測定すると(/1 視野:X400)、正常上皮では1.95 ± 1.28 個、膀胱癌grade2では7.48 ± 6.22 個、grade3 では8.44 ± 6.46 個と、悪性度が増すにつれて膀胱癌直下間質の肥満細胞数が有意に増加することが示されました(図: 正常上皮VS grade2 : P=0.0001, 正常上皮VS grade3 : P<0.0001, grade2 VS grade3 : P=0.5548)。また深達度においてはpT1 では 2.0 ± 1.16 個、pT2 では7.48 ± 6.22 個、pT3 では8.44 ± 6.46 個とpT1 からpT2 へ、つまり浸潤癌への移行の過程で肥満細胞数が有意に増加しています(正常上皮VS pT1 : P=NS, 正常上皮VS pT2 : P<0.0001, 正常上皮VS pT3 : P<0.0001, pT1 VS pT2 : P<0.05, pT1 VS pT3 : P<0.05, pT2 VS pT3 : P=NS)。したがって、肥満細胞の集積により何らかの炎症性サイトカインが過剰発現し膀胱癌の進展に関与している可能性が考え、研究をすすめています。

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