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帝京大学医学部附属病院
泌尿器科

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(初診)
約100分 (76-128)
予約なし患者
(再診)
約90分
(54-134)

専門外来

多発性嚢胞腎外来

責任医師 堀江重郎
担当医師 武藤智
扱う疾患 多発性嚢胞腎は両側の腎皮質、髄質に多数の嚢胞を形成し、実質の萎縮と線維化を伴う遺伝性疾患で常染色体優性多発性嚢胞腎 autosomal dominant polycystic kidney disease(ADPKD)と常染色体劣性多発性嚢胞腎 autosomal recessive polycystic kidney disease(ARPKD)にわけられます。嚢胞は腎臓以外に肝嚢胞を60 ~70%に認め、その他に膵臓・卵巣・甲状腺にも嚢胞を形成し、また20% に脳動脈瘤、10-20% に僧帽弁逆流、大動脈弁逆流といった心弁膜機能異常も認めます。

多発性嚢胞腎に対する治療・研究の世界拠点

多発性嚢胞腎は罹患率が約600 ~ 1,000 人に1 人と、遺伝性腎疾患のなかで最も頻度が高く、透析医学会2006 年末の集計では、透析患者全体の3.4%をしめます。現在われわれの多発性嚢胞腎外来では約120 人の患者様を定期的にfollow しています。多発性嚢胞腎は進行性腎障害に加えて嚢胞の増大がQOL を著しく損なう遺伝難病です。

合併症の中で腎不全の憎悪因子は高血圧と尿路感染症で、実際35 歳以前に高血圧を指摘された患者様は腎機能の予後が悪いと報告されています。高血圧は70 ~ 80%に生じ、腎不全の出現する以前より認められることが多く、機序としては嚢胞腎内でのレニン - アンギオテンシン - アルドステロン系の活性化による腎血漿流量の低下、腎血管抵抗の増大、アンギオテンシン変換酵素遺伝子多型、血管でのNO 産生の低下が考えられています。アンギオテンシンレセプター阻害薬(ARB)は降圧作用だけでなく、カルシウムブロッカーに比べて腎不全進展を抑制する結果が得られ(図1)、多発性嚢胞腎による高血圧に対する第一選択の降圧剤であることが、われわれも参加する「厚生労働省科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 進行性腎障害に関する調査研究 多発性嚢胞腎分科会」によって明らかにされました。

また、大豆蛋白による嚢胞形成抑制作用が注目され、 魚油や大豆蛋白に含まれるω 3 不飽和脂肪酸が主要な作用成分と考えられています。われわれのω 3 不飽和脂肪酸であるイコサペント酸(EPA)とARB を併用した場合のADPKD に対する2 年間の治療効果検討では、未治療群(no Tx)では腎機能 (Ccr)が有意に低下しましたが、ARB 単独群、EPA 単独群、EPA+ARB 群ともに治療前後で有意差はなく(図2)、未治療群では腎容積が増加する傾向にありましたが、 ARB 単独群、EPA 単独群、EPA+ARB 群では増加しませんでした(図3)。以上の結果をふまえ、われわれは外来を受診する患者様にARB を用いた血圧のコントロールに加えEPA を加えた治療を積極的に行っています。

はじまっている臨床治験

ADPKD においてcAMP は嚢胞の増大と上皮の増殖に 関与していると考えられています。嚢胞腎モデル動物では腎においてcAMP 量が増加しており、また cAMP により転写調節される aquaporin2 およびバゾプレッシンV2 レセプターの発現が増加しています。そこで浮腫の治療薬として開発されたバゾプレッシンV2 受容体阻害薬である OPC31260 およびその誘導体であるOPC41061 をこれらのモデル動物に投与したところ、嚢胞が縮小し腎不全進行が抑制されたことが報告されました。この結果を基に現在多発性嚢胞腎に対してOPC41061 の臨床治験が世界同時に開始されています。われわれも本邦の中心機関として既に多くの患者様にこの治験に参加していただいています。

治験に興味のある方はぜひ担当医にご連絡ください。

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